設立趣旨書

特定非営利活動法人アーモンド コミュニティ ネットワーク設立趣旨書 

「聴くこと」が、社会を変える、人を変える、家庭を変える、

コミュニティをより良く変えることを知っていますか?

 市民が孤立することのない共生の社会と平和なコミュニティの実現に寄与することを目的として、こころの支援と傾聴活動を土台として1998年に市民のための勉強会という形で誕生した。多様な個性・文化・価値観を持つ人々で構成されたコミュニティの中で、人と人とを隔てる様々な問題に対して働きかけ、健やかに共に生きるための「相手の話しをより良く聴くこと」「傾聴」による支援は、地域社会でのさまざまな問題に対して大きな働きを担っていく可能性を持っている。NPO法人を設立することで会員と共にさらに幅広い活動を目指して、社会に貢献していく道を歩んでいきたい。

《 NPO法人設立にいたった経緯 》

1 1998年横浜市立小学校のコミュニティハウスから依頼を受けて「対話によるカウンセリング勉強会」を教え、事業後グループとして、「アーモンドの会—こころを聴くカウンセリング勉強会」(現在、都筑区社会福祉協議会の団体会員)が立ち上がる。

2 当時市民対象の勉強会に集まる参加者の大半が、子どもの発達障害、不登校、家族の引きこもり、育児の不安、親との心理的問題、家族のメンタル不全の状態にあり、問題を抱える当事者たちから学びながら、市民対象のこころの相談業務と不登校児や引きこもりの家族への支援を始める。

3 横浜市北部地域の子育て層の人口増加に伴って、子育て不安を抱えている親への支援が求められ、社会福祉協議会や横浜市からの依頼で「子育て支援講座」「青少年支援者講座」等の講師をつとめる。

4 2005年に、「よちよち歩きのこころを学ぶ子育て勉強会」と子育て不安への個別相談と保育スタッフによる同室保育を設けた「子育てALC(あるく)」を立ち上げる。都筑区社会福祉協議会からのふれあい助成金を得て運営する。

5 2009年、2010年に「つづき不登校フォーラム」(つづきMYプラザ、都筑区役所主催)が開催され、パネラーの一人として出席する。問題を抱えた参加者のために事業後グループ「不登校からの道しるべ〜MY Café 」を傾聴スタッフの仲間と共に2011年に立ち上げ、不登校問題の本格的な支援を開始する。

6 親からの相談と依頼を受けて、不登校児への訪問と個別カウンセリングと学習支援を開始する。親が子どもの話しをより良く聴く方法(「傾聴」)を学び始めることで、子どもが不登校状態を脱してあらたな進路を歩むことになるのを見る。悩んでいる人への「傾聴」による支援の働きの素晴らしさを知る。

7 2010年、2011年に多文化共生支援の「ニッポンで生きるということ」(つづきMYプラザ主催)の講座を教える。国際結婚をしている参加者と共に「Green House Café」を立ち上げて多文化共生問題の支援を開始する。

8 2010年から、精神保健福祉領域の傾聴講座の依頼を受けるようになる。地域ケアプラザにて「精神保健福祉プログラム」を教え、事業後グループは精神障がい者への傾聴ボランティアとして、2011年に精神保健福祉サロンを立ち上げる。2012年1〜3月NPO法人五つのパンからの依頼で、神奈川県地域支え合い活動モデル調査研究事業による委託事業で傾聴講座を教える。

9 2009年頃から、長年の勉強会活動の中で出会った、かつては辛い問題を抱えて悩んでいた人が、傾聴しあうことで自分らしさを表現する歓びを知り、お互いを認め合う人間関係の中でこころを癒され、やがて他者の痛みが共感できる傾聴者、地域ボランティア、支援者へと成長する姿を見るようになる。また勉強会には20代から80代の参加者が集うようになる。これらの傾聴力の高い人たちと一緒に活動を推進することで、地域社会でさまざまな困難を抱えて孤立する傾向にある人を支えることができるようになってきた。傾聴を学んできた仲間と共に「こころの居場所」を作るためのNPO活動を目指すこととなった。

《 NPO法人としての新たな視点 》

NPOの設立準備で18名のメンバーが集まり始めた2011年の3月11日に、東日本大震災を経験した。その後の日本社会と国民の生活を見つめていると、「傾聴」を土台にした市民活動はこれからの日本が抱える問題に大きく貢献することになるという思いを強くしている。設立メンバーは長年にわたる勉強会で出会った日本人、外国につながる人、青少年、大学生、若者、高齢者、主婦、社会人、障がいのある人で、幅広い層の男女から成る。「より良く人の話しを聴くこと」「傾聴」を土台として、お互いの違いを認めあい(リスペクト)、お互いの多様性を愛するという価値観とビジョンに基づいて、個性が活き活きと表現できる、新たな地域コミュニティ活動を共に創って行きたい。

法人の名前の由来は、アーモンドの花と木は、春まだ浅い寒い時期に、真っ先に花を咲かせ、春の訪れを告げる。冬の寒さを耐えて、芽吹き、花を咲かせ、実を成らせていくその姿は、活動の中で出会う問題を抱えて困難な状況に陥っているひとり一人が、やがて復活して、新たな生命の息吹きを受けて、自分らしい人生を生きていくことを信じる象徴として名付けた。

21世紀グローバル化した世界にあって、日本も多様性、多文化、多言語、さまざまな価値観を認めあう包摂する社会へと成長することが必要となってきている。しかし、一方で経済構造の変化や経済格差の問題からは社会的弱者が増加し、生きづらさを抱える人が増え、1998年以来自殺者数が3万人を上回る世界でも類を見ないほど国民の自殺が多い国となっている。また、「不登校問題」という言葉で表現される学校に行けなくなる子どもや「引きこもり」の若者が増加している中、この問題に関わってきた者として、当事者と親の苦しみは計り知れないものであると感じている。発達障害の問題や親の経済格差の問題、競争原理に基づいた社会は、子どもや青少年が育つ家庭や学校での暴力やいじめに繋がっていく要因の一つでもあり、残念なことに今の日本は未来を担う子どもや若者が生きづらい世の中になってきている。NPO法人として市民活動団体、企業、行政と連携・恊働して、人々をコミュニティで支え合う支援活動をさらに充実させ発展させて行く。

この荒れ野のような社会に道が敷かれ、砂漠のように渇いた人の心にいのちの水が流れることを願い、私たちアーモンド コミュニティ ネットワークは、支え合いと共生の社会の実現に向けて、国籍、言語、障がい、社会的性差等、人と人を隔てている意識から生じる隔ての中垣を越えて、真の平和の社会・コミュニティの実現のために働きたい。

「見よ、新しいことをわたしは行う。

今や、それは芽生えている。

あなたたちはそれを悟らないのか。

わたしは荒れ野に道を敷き、砂漠に大河を流れさせる。」

 2012年7月28日

特定非営利活動法人 アーモンド コミュニティ ネットワーク

設立代表者 水谷 裕子